誰からも愛されて育った姉がいた。
 私は、いつだって彼女の姿を遠くから見ていた。
 羨ましいなんて思ったことは一度もなかった。
 愛されたいと思ったことなど一度もなかった。

 いつしか、綺麗なものが見えなくなった。
 いつしか、綺麗なものほど嫌うようになった。
 いつからか、綺麗なものに嫌悪を覚えるようになった。

 結局私は、そういう人間だった。



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